
さて、次に向かったのは今回湯沢行きを決めたメインの目的地。
湯沢市の市街地から5キロほど離れた集落、そこに築120年の蔵を利用したカフェがあります。

エントランスはスレートのタイル、杉の柱、そして杉の皮を壁に張っています。
秋田の方は、地元の素材にとても誇りを持っている印象が伺えます。

カフェですが、こちらでは生活雑貨や食品、家具も取り扱っています。
セレクトの基準は、かっこよさやオシャレさ、ではなく、オーナーさんが惚れ込んだ
作り手のものがメイン。「健康」や普段使いで長持ちするもの、といった基準で選ばれています。
地元の作り手を応援したいとの想いも強く、オーナーさんは買い物を「応援したい方への投票活動」
と捉え、大量生産されたものを大量消費するのではなく、地場の伝統技術を守り、広めて
いきたいとの想いを強く感じます。

「かくれんぼしよう」と言ったムスメの気持ち、良くわかります。昔の家は日中でも暗い場所、
子供にとっては近寄りがたい場所がありました。

デッキスペースは広さではなく、南に向かなければいけないわけでもなく、身近に、気軽に
日常使えるように配置してもらえば良いと思います。そして、屋根をかけてもらえば
お飾りのデッキではなく、日々の生活に欠かせない場になると思います。

最後は白井晟一の建築。湯沢は白井晟一の設計した建物がたくさんあるそうです。
こちらは木造平屋建てのこじんまりとした住宅。豪雪地ですが、高さを抑えた屋根勾配、
湯沢の住宅の意匠を継承した必要最低限の意匠でとても気品を感じる建物です。

こちらは旧酒造会館。窓が少なく、その窓も丸い穴の空いたコンクリートブロックで覆われ、
独特な存在感があります。
今回の旅。古いものを大事にし、地場のものに誇りを持つ湯沢。
周囲に存在感を示すのではなく、いかに周囲に溶け込むか、そしてそれが結果として町全体の
良い雰囲気を醸し出しているんだな、と感じることができました。